pic nic
美瑛町市街地から十勝岳のふもと、白金温泉に向かう道の右手にある小さな店。この道沿いにいくつか飲食店があるが、大半が夏季しか営業していない。実は私も手前のパスタ屋を目指していたのだが休業中だった。
ここは数年前の夏に来たことがある。いまも存続していて、かつ(すべての曜日かは知らないが)冬季も営業しているということは、地元客も含め安定した数の客がいるということだろう。
本日のスープ(とうきびのポタージュ)350円とサンドウィッチのアボガドツナ500円を頼む。おいしい。ただし、私はどういうものがおいしいサンドイッチなのかよく知らないし、発明者の伯爵もトランプの邪魔になるか否か以外には判断基準を持たないであろう。
この店の場合、今の季節は小さな店内の壁の大半を占める窓から眺める冬の畑の風景がいいので、私はおいしいと言っておく。
炭火焼肉 大手門
自衛隊駐屯地付近の店。焼肉店は夜が主力だけにランチは暗い雰囲気。「豚丼」ののぼりがかかげられていたのだが、焼肉定食プラス肉中盛(950円)を頼んだ。豚丼を別々の皿に載せてきたようなメニューだ。
豚肉はボリューム十分(大きさも枚数も脂の比率も)。肉には丁寧に焦げ目がついている。豚丼の世界でどういう味がうまいとされているか知らないのだが、もうちょっとタレにとろみかあってもいいのではないか。豚肉が淡白なだけに、タレが箸で持ち上げた肉の上に残る工夫がほしい。
こういう料理は、メインとなる肉と並んで、皿の上に残ったタレや肉汁と絡めて食べるキャベツが重要。ここの店は、おそらく店主のこだわりでキャベツを乱雑に刻んでいるのだが、焼くわけじゃないのできちんと千切りしたほうがいい。
新華楼
朝食をまともに食べていなかったので、11時ごろ、デパートの裏にある中華料理の店に初めて入り、「もう入ってもいいですか?」と確認した上で席についた。他には誰もいない。何種類かあるランチセットのうち「C」を注文。酢豚、ぎょうざ、スープ、ライス、ザーサイがついて920円。
典型的な日本式中華料理。餃子は皮厚。焼き加減は良し。それほどジューシーではない。かといって餡が密なわけでもない。水に問題があるのか、かすかにカルシウムの臭いを感じたのが残念。酢豚もとくに印象には残らなかった。が、完全なわき役のザーサイに梅肉が和えてあって、これがおいしかった。ライスの量が少ないのはいつもなら加点要素なのだが、梅肉ザーサイと一緒におかわりしたかった。
私に続いて入ってきた2人目、3人目の客が、取引相手の社長と役員だったので、あまり料理に集中することができなかった。この人たちはすごい金持ちなので、それなりにいい料理も食べているはず。彼らの口に合うということはいい店なのかもしれない。
和佳亭
これまで初めて行く店ばかりだったが、今日は嫁と一緒だったので冒険をやめ、何度も行っている店にした。スタイルは「そばを中心としたファミレス」。ただし、チェーン店ではない。10年ほど前、現住所に移転すると同時にそば屋としては異例の大きさとなった。以来、いつも混んでいる。
私は麺類を食べたい気分ではなかったので、天丼(1000円)を注文。ころもは固め、タレは私の好みよりもちょっと甘い。イカ、キスがうまかった。
店員の応対がいい、食後のアイスクリーム&コーヒーセットがちょうど注文しやすい絶妙価格に設定されているなど、この店のおやじの経営者としてのセンスも感じる。
さて、私は天丼を食べるとき、決まってえびを最後まで取っておく。たまたまいま読んでいる経済学の本に、人はなぜ貯蓄(投資)するのか、人に消費ではなく貯蓄を選ばせるのは何なのかというテーマが出てきて、time preferenceという概念が紹介されているのだが、私がえびを最後まで取ってあるのは、たんに主役にはトリを務めてもらいたいから。最後にドカンと消費するために貯蓄している投資家もいるのではないか。
Horn
緑ヶ丘にある喫茶店兼ウィンナー料理の店。昭和40年代に造成された当時のニュータウンの中心にある。当時は若かった家族もすっかり年寄りばかりになり、活気のある地域ではない(そんなこと言ったらこのまち全体に活気がないが)。ウィンナー料理の店があることには数年前に気が付いており、このたび初めて足を踏み入れた。
その瞬間、店の中で鳴っていたのはAMラジオの番組。店を営む品の良さそうなおばちゃんが、すぐにBGMをホルンの音楽に替えた。12時を過ぎており、本来なら最も忙しい時間帯だが、客足が遠のいているので油断していたと思われる。
店内にはスイスホルンなど音楽にまつわる品々が並んでおり、店名が示す通り音楽をテーマにした店なのだろうが、「Since 1998」というから17年も経つと古さが目立つ。砂糖の粒がテーブルの上に散らばっているなど清潔感もいまひとつ。
注文したのはウィンナー入りのドライカレー600円の「f」。fは辛口、pは甘口を意味しているらしい。けっこう待たされてから、ドライカレー、スープ、卵黄のセットが運ばれてきた。ドライカレーの山の頂上にくぼみがあり、そこに卵黄を落としてから混ぜて食べるとおいしいとのこと。言われる通りにしたが、卵黄がない部分も十分にうまかった。ごはんのカリカリ具合、程よいピーマンとにんじんの量。これで600円なら十分合格点。
1センチ幅に切られたウィンナーの味はカレー風味に紛れてよくわからなかったが、皮が厚めなようで、切らずに食べればプリップリッであろう。
満足して帰ったのだが、入店から出店までの間、客は私だけ。メニューにはフランクフルトも掲載されているのだが、売れ行きが芳しくないのか、もともとの値段が消され、値下げ後の値段が手書きされ、その値段も消され、現在の価格が書いてある。悲しすぎる。
開店当初はもっと人気があったはず。料理はおいしいのだから、もっとたくさんの客を集めてほしい。そう強く願わずにはいられないような店だった。
南京楼
神楽の店。薄汚い(これは加点要素)。薄暗い(これも加点要素)。テレビがブラウン管(これも加点要素)。皮肉でなく、こぎれいに飾った店よりこういう店のほうが好感が持てる。しかし、惜しいかな、私が頼んだ東坡肉はいまひとつであった。
店内はカウンターとテーブル。小上がりもある。カウンターには5人。テーブルに1組。小上がりには誰もいなかった。他の客は麺を食べていたようだ。せっかく中華の店に来たのだから、ラーメンなんてやめればいいのにと思うが、ラーメンがこういう店の生命線なのかもしれない。
私はちょっときどって東坡肉のセット(1080円)。ただ、メニューに「東波肉」と書いてあるあたりで、あまり期待はしていなかった。豚肉は大き目の3枚。ただ、東坡肉にするには脂身が少なすぎて、赤身が奥歯にペチャ、ペチャとつく感じが好ましくない(過去に他の店で東坡肉を食べたときも、ほぼ同じ感想を抱いた)。味も深みがなく、八角とかネギとかしょうがでもっと奥行が出せないものか。あと、このメニューの付け合わせは独特の香りのあるレタスじゃなくて、青梗菜でしょう。レタスが熱い汁に漬けられてあのレタス臭を発して、主役の邪魔をしていた。
この味でこの価格だと、次はない。店のほうも売れ筋のラーメンをプッシュしたいからこそ、この価格設定なのかもしれない。
(写真が不覚にも手ぶれしていた)